医療ローン(メディカルローン)を検討している方のなかには「保険適用外でも利用できるの」「審査基準はどうなの」と考えている方もいるでしょう。
医療ローンは一般的なカードローンより金利が低く、保険適用外の治療にも利用できます。
本記事では医療ローンのメリットやデメリット、審査基準や審査に落ちたときの対処法などを解説します。
医療ローンの利用を検討している方、高額な医療費を支払う可能性がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
医療ローン(メディカルローン)とは?
医療ローンはメディカルローンとも呼ばれ、病院やクリニックの医療費を支払うためのローンです。
医療ローンについて詳しく解説します。
医療ローンは医療費に特化したローン
医療ローンは医療費に特化したローンで、病院やクリニックで受けた診療や治療の費用を支払うために利用します。
高額な医療費を支払わなければならないときや、保険適用外で自己負担額が大きい際に役立つローンです。
一般的に病院やクリニックと提携している金融機関から借り入れるケースが多く、通常のローンと同様に分割して返済します。
医療ローンは保険適用の治療のほかに、美容医療や医療脱毛など保険適用外の治療でも利用でき、医療費が高額なときに活用できます。
また、金利は一般的なカードローンやフリーローンより低く設定されている点がメリットです。
医療ローンの種類
医療ローンは銀行系と信販会社系があり、それぞれの特徴は次のとおりです。
種類 | 審査 | 金利 | 審査期間 |
---|---|---|---|
銀行系 | 厳しい傾向 | 2.5%~10%程度 | 長い傾向 |
信販会社系 | 通りやすい傾向 | 4~14%程度 | 短い傾向 |
銀行系の医療ローンは金利が低い分、審査が厳しく融資まで2~3週間程度かかることもあります。
医療ローンを取り扱う銀行は多くはなく、銀行により対象となる治療が異なるため、利用する前によく確認しましょう。
信販会社系の医療ローンは審査期間が数日で終わり、審査に通りやすい傾向がある一方で、金利が銀行系と比べて高く設定されています。
信販会社系は医療機関から申し込め、手続きが楽な点もメリットで、審査の通りやすさを重視する方に向いています。
医療ローン(メディカルローン)のメリット
医療ローンは目的別ローンの一種のため、カードローンより金利が低く、保険適用外の治療にも利用できるなどのメリットがあります。
医療ローンのメリットを詳しく解説します。
一般的なカードローンより金利が低い
医療ローンは、一般的なカードローンより金利が低い点がメリットです。
金利は利息制限法で、次のように上限金利が定められています。
金額 | 上限金利(年率) |
---|---|
10万円未満 | 20.0% |
10~100万円未満 | 18.0% |
100万円以上 | 15.0% |
カードローンで借り入れをする際の、審査や借り入れ金額により異なりますが、一般的に上限金利に近い金利が設定される傾向があります。
医療ローンは銀行系であれば、金利が2.5%~10%程度、信販会社系であれば4~14%と、一般的なカードローンより低めに設定されています。
また、大手のクリニックでは医療ローンの金利や手数料を負担するケースもあり、医療機関を選ぶ基準にしてもよいでしょう。
医療ローンも審査や借り入れる金額により異なりますが、多くの場合カードローンより金利が低い傾向があり、金銭的な負担を軽減できます。
高額な医療費を分割で支払いできる
医療ローンは、医療費が高額な場合でも分割で支払えます。
とくに保険適用外の自由診療や先進医療は、医療費が高額になり一括での支払いが困難なケースも多いでしょう。
たとえば、がんの治療で受ける先進医療の技術料として、数百万円かかるケースも考えられます。
また、先進医療ではなくても、歯医者でインプラント治療をする場合や美容クリニックで美容医療を受ける際は、数十万円かかるケースもあります。
医療費が高額になり一括での支払いが難しい場合は、医療ローンがなければ手術や治療を受けられません。
医療ローンは医療費が高額で、一括での支払いが難しいときに、分割で支払いができる点が大きなメリットです。
保険適用外の治療にも利用できる
医療ローンは、保険が適用されない自由診療にも利用できます。
よく利用される自由診療は、主に次のとおりです。
- レーシック
- インプラント
- 美容医療
- 医療脱毛
- AGA治療
どの治療や手術をするかによりますが、医療費が高額になり、一括での支払いが難しいケースも珍しくありません。
たとえば美容整形をおこなう場合、二重や鼻、口の整形などは高額な医療費がかかり、分割での支払いであれば助かる方は多いでしょう。
また、同一の医療機関で複数の自由診療を受けたい場合には、さらに医療費が高額になるケースも考えられます。
医療ローンは自由診療にも利用でき、自身が抱える悩みを解決するための治療が受けられる点がメリットです。
医療ローン(メディカルローン)のデメリット
医療ローンにはメリットがある一方で、デメリットも存在します。
デメリットを理解したうえで、医療ローンを利用するかよく検討しましょう。
医療ローンのデメリットを一つずつ解説します。
融資されるまでは自身で支払う
医療ローンは申し込みをして、審査を通れば融資がおこなわれます。
融資される前に医療費の支払いが発生していた場合、自身で支払う必要があります。
とくに銀行の医療ローンの場合は慎重に審査をおこない、融資まで2~3週間かかる可能性があるため要注意です。
銀行は審査の際、申し込み者が反社会勢力の関係者ではないかを警視庁のデータベースを利用して確認する義務があり、最低でも1日以上かかります。
つまり銀行の医療ローンは、即日の融資は受けられないと覚えておきましょう。
クリニックと提携している信販会社系の医療ローンは、最短1時間程度で審査結果がわかることもあり柔軟です。
ただし、審査に落ちて借り入れができないケースも考えられるため注意が必要です。
医療ローンを利用する際は、融資されるまでは自身が支払う可能性がある点を認識しましょう。
医療費以外に利用できない
医療ローンは目的別ローンの一種で契約上、医療費以外には利用できません。
医療ローンで認められている用途は、主に次のとおりです。
- 検査費用
- 治療費用
- 入院費用
- 出産費用
医療ローンを利用できる対象は、借り入れ先により異なるケースがあり、よく確認する必要があります。
医療費以外の交通費や入院で利用する日用品代、食事代などは医療ローンを利用できないため気を付けましょう。
また、医療ローンで認められている医療費でも、審査により希望する金額を借り入れできない場合は、足りない医療費を自身で負担する必要があります。
医療ローンは契約で定められた医療費にのみ利用できるため、注意しましょう。
ローン会社を選べない
病院やクリニックで医療ローンを利用する際は、ローン会社を選べません。
一般的に医療ローンを契約するのは、病院やクリニックと提携しているローン会社になるためです。
カードローンのように、借り入れ先の金利や条件などを比較しながら選べない点がデメリットでしょう。
なかには高い金利で貸し付けたり、高額なローンを組まされたりするケースもあるため要注意です。
病院やクリニックと提携しているローン会社を利用する際には、借り入れ金額や金利などをよく確認する必要があります。
医療ローンを利用する際は、病院やクリニックと提携しているローンとの契約になるため、基本的に選べないと覚えておきましょう。
転院すると全額請求される場合がある
医療ローンは転院すると、ローンの残金を全額請求される場合があるため注意が必要です。
医療ローンは病院やクリニックと提携しているローン会社との契約で、治療の途中で転院するとローン会社から一括返済を求められる可能性があります。
治療の方針が自身とあわない、引越しで通えなくなるなどの理由で転院する際は、多額なお金を請求されるケースもあるため要注意です。
転院せずに同じ病院で治療を続ける方は、問題ありません。
医療ローンの利用を検討している方は、病院やクリニック選びの際、転院せずに通えそうなところを選ぶようにしましょう。
医療ローン(メディカルローン)の申し込み方法
医療ローンを検討している方のなかには、申し込み方法がわからず不安な方もいるでしょう。
医療ローンの申し込みで難しい手続きはなく、必要書類を準備すれば誰でも申し込めます。
医療ローンの申し込み方法や必要書類を解説します。
医療ローンの手続きの流れ
医療ローンの一般的な手続きの流れは、次のとおりです。
- 医療機関から見積書を提出
- 申し込み
- 必要書類の提出
- 審査(銀行は仮審査、本審査の2回)
- 契約の手続き
- 医療ローン借り入れ
医療ローンは目的別ローンの一種で利用目的を証明するために、医療機関からの見積書の提出が必要な場合があります。
申し込みの流れは、一般的なローンと変わりません。
ただし、銀行で医療ローンを申し込む際は、仮審査、本審査と2回の審査がおこなわれます。
仮審査に通れても本審査に通れるとは限らないため、注意しましょう。
医療ローンの手続きの流れは、最初の見積書の提出以外は、一般的なローンと同じような流れです。
申し込みに必要な書類
医療ローンに申し込む際には、必要な書類があります。
病院やクリニック、金融機関により必要書類は異なるため、事前に確認しておきましょう。
一般的な必要書類は次のとおりです。
- 本人確認書類
※運転免許証、マイナンバーカードなど - 銀行の通帳、キャッシュカード
- 銀行の届出印
- 収入証明書類
※源泉徴収票、給与明細など - 資金使途確認書類
※医療費の見積書
資金使途確認書類とは治療費が明記された書類で、医療ローンの借り入れに必要な場合があります。
目的別ローンとしての借り入れのため、資金使途確認書類に記載された見積額が、借り入れの上限額です。
医療ローンを申し込む際には、必要書類を病院やクリニック、金融機関に確認して用意しましょう。
医療ローン(メディカルローン)の審査基準
医療ローンは融資のため、金融機関ごとの基準をもとに審査がおこなわれます。
基本的には銀行のほうが審査は厳しく、信販会社は審査に通りやすいといわれていますが、重要な審査基準は、返済能力と金融事故の有無です。
医療ローンの審査基準について解説します。
返済能力の有無
医療ローンでは、返済能力の有無が重要な審査基準の一つです。
申し込み者の返済能力があれば、問題なく融資した金額が返済される可能性が高くなるため、審査基準として重要視されています。
返済能力の有無を判断する際に確認されるのは、主に次の項目です。
- 年収
- 職業
- 年齢
- 勤続年数
- 雇用形態
- 家族構成
ほかのローンと同様に、安定した収入があり、勤続年数が長いほど審査に通りやすくなります。
年収が高くても収入が安定していない場合は、毎月の返済が滞るリスクがあるため、審査には通りにくくなる傾向があります。
医療ローンは年収や職業、勤続年数などをもとに、厳密に審査しており返済能力の有無が重要です。
金融事故の有無
医療ローンの審査基準として、金融事故の有無も必ず確認されます。
金融事故とは主に次のとおりです。
- 債務整理
※任意整理や自己破産 - 3か月以上の滞納
- クレジットカードの強制解約
- 携帯電話料金の滞納
- 奨学金の滞納
金融機関は、信用情報機関から申し込み者の信用情報を照会し、金融事故の有無を確認しています。
もし金融事故がある場合は、返済能力がないと判断され審査を通れないでしょう。
医療ローンとは関係ないように思える、携帯電話料金や奨学金の滞納も、自身の信用情報として残るため注意が必要です。
医療ローンを検討している方は、必ず金融事故の有無を確認され、事故の履歴がない方のみ審査を通れます。
医療ローン(メディカルローン)の審査に落ちた場合の対処法
医療ローンを利用したいにもかかわらず、審査に落ちるケースも考えられます。
審査に落ちた場合、ほかのローンを利用したりクレジットカードでキャッシングしたりする方法を試してみましょう。
医療ローンの審査に落ちた場合の対処法を解説します。
カードローンを利用する
医療ローンの審査に落ちた際、選択肢の一つとしてカードローンを利用する方法があります。
銀行や金融機関が提供しているカードローンは、比較的審査が通りやすく、医療費以外にも利用できる点がメリットです。
カードローンで借り入れたお金をクリニックに向かう交通費や、途中での食事代などにあてられるため、自由に活用できます。
注意点としては医療ローンと比べて金利が高いことと、何度も借り入れをして借り過ぎてしまうおそれがあります。
カードローンを利用する際は、必要最低限の借り入れ金額に設定して、計画的に返済しましょう。
フリーローンを利用する
金融機関で提供されているフリーローンも、医療ローンの代わりに利用できます。
カードローンと同様にフリーローンも医療費以外に利用でき、審査に通りやすい傾向があります。
金融機関により即日の融資が可能な場合もあり、限度額が決められているため借り過ぎてしまうことはありません。
また、カードローンと比べて金利が低い傾向があり、できる限り返済額を抑えたい方に向いています。
借り入れたお金を医療費以外にも利用したい方は、必要な医療費と用途にあわせた金額を算出してからがよいでしょう。
医療ローンの審査に落ちた方は、すぐに医療費が準備できるフリーローンがおすすめです。
クレジットカードでキャッシングする
クレジットカードでキャッシングする方法も活用できます。
キャッシングはクレジットカードがあれば、ATMやキャッシュディスペンサーから手軽に借り入れができる点がメリットです。
ただし、クレジットカードの審査を通る必要があり、カードの発行まで1週間程度かかるケースもあります。
また、キャッシング枠があり多額な借り入れには向いていないうえに、クレジットカードの利用限度額まで買い物をするとキャッシングができません。
病院やクリニックでの医療費が、キャッシング枠内で済む方はクレジットカードのキャッシングを活用しましょう。
公的貸付制度を活用する
病院やクリニックで受ける治療が、保険が適用される医療費の場合、公的貸付制度を活用できます。
全国健康保険協会に加入している方であれば、高額療養費が支給されるまでの期間に、無利子で利用できる貸付制度があります。
全国健康保険協会の公的貸付制度の対象者は、保険組合に加入している方すべてです。
また、住んでいる自治体で医療費の貸付を活用できる場合があるため、確認するとよいでしょう。
保険適用の医療費が高額になり、支払いが難しい方は公的な貸付制度の活用がおすすめです。
まとめ
医療ローンのメリットやデメリット、申し込み方法や審査基準などを解説しました。
医療ローンはメディカルローンとも呼ばれ、病院やクリニックの医療費に特化した目的別ローンです。
医療ローンは一般的なカードローンより金利が安く、保険適用外の高額な治療でも分割で支払いができる点がメリットです。
デメリットとしては、融資されるまでは自身で支払う点や医療費以外には利用できない点、ローン会社を選べない点があげられます。
また、転院すると全額請求される可能性があるため注意が必要です。
本記事で紹介した医療ローンの申し込み方法を参考に医療ローンを利用し、高額な医療費でも分割して支払えるようにしましょう。
医療ローンの審査に通らない方は、審査に落ちた場合の対処法を参考にして、お金の悩みを解決してください。