新NISAの積立を途中でやめたらどうなる?積立停止と売却の違いを解説
この記事でわかること
- 新NISAの積立を途中でやめるとどうなるのか
- 積立停止と売却の違い
- 積立を止めても保有商品はどうなるのか
- 積立を再開できるのか
- 売却した場合の非課税保有限度額の扱い
- NISAで損失が出た場合の税金上の注意点
新NISAの積立を途中でやめたらどうなる?積立停止と売却の違いをFPが解説
新NISAで積立投資を始めたものの、「家計が苦しくなったのでいったん積立を止めたい」「積立をやめたら、これまで買った商品も売られるの?」「あとから再開できる?」と疑問に思う人もいるでしょう。
結論からいうと、積立設定を停止することと、保有している商品を売却することは別です。積立を止めても、すでにNISA口座で保有している投資信託や株式が自動的に売却されるわけではありません。
この記事では、新NISAの積立を途中でやめた場合にどうなるのか、積立停止と売却の違い、再開するときの注意点、売却した場合の非課税保有限度額の扱いまで、制度上のルールに沿ってわかりやすく解説します。
結論|積立を止めても保有商品はそのまま
まず結論
- 積立停止と売却は別の手続き
- 積立を止めても、すでに購入した商品が自動的に売却されることはない
- 2024年からのNISAは非課税保有期間が無期限
- 積立は後から再開できる
- 売却した場合は、売却した商品の取得金額(簿価)分を翌年以降に再利用できる
- 売却しても、その年に使った年間投資枠は復活しない
新NISAで積立投資をしている場合、証券会社などで設定した「毎月○円を購入する」という積立設定を停止することができます。
積立設定を停止すると、今後の自動買付けが行われなくなるだけで、すでに保有している商品はNISA口座に残ります。
2024年からのNISAでは非課税保有期間が無期限となっているため、制度上、積立を止めたからといって保有商品を売却しなければならない期限はありません。
積立停止と売却は何が違う?
積立停止と売却は、まったく別の行為です。
| 項目 | 積立停止 | 売却 |
|---|---|---|
| 今後の自動買付け | 停止する | 積立設定とは別 |
| すでに保有している商品 | そのまま保有 | 売却した分は保有しなくなる |
| 売却益・売却損 | 発生しない | 売却価格によって発生する |
| 非課税保有限度額 | 変化しない | 売却商品の簿価分を翌年以降に再利用できる |
例えば、新NISAで毎月3万円を積み立て、合計60万円分の投資信託を保有しているとします。
積立設定を停止すれば、翌月以降の3万円の買付けが行われなくなります。しかし、すでに購入した60万円分の商品はそのまま保有されます。
一方、その商品を売却すれば、その時点の価格で換金されます。
積立を止めたらNISA口座はどうなる?
積立を停止しただけで、NISA口座そのものがなくなるわけではありません。
NISA口座は引き続き利用できます。積立設定を停止した後でも、その年の未使用の年間投資枠があれば、再び積立を設定したり、対象商品を購入したりすることができます。
2024年からのNISAの年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、併用すると年間最大360万円です。
ただし、使わなかった年間投資枠を翌年に上乗せして使うことはできません。
例えば、つみたて投資枠120万円のうち、その年に40万円しか購入しなかった場合、残り80万円を翌年の120万円に加えて200万円使えるわけではありません。
積立を途中でやめても保有商品は非課税のまま?
はい。2024年からのNISAで取得した商品は、積立を停止しても、NISA口座で保有している限り制度上の非課税対象です。
2024年からのNISAでは非課税保有期間が無期限です。
そのため、「積立をやめたら、その時点で売らなければならない」「一定期間で課税口座へ移される」といった仕組みではありません。
ただし、投資信託や株式の価格は変動するため、積立を止めて保有を続ければ、評価額が増えることも減ることもあります。
積立をやめても後から再開できる?
積立を停止した後、再び積立設定を行うことは可能です。
ただし、証券会社ごとに積立設定の締切日や反映時期が異なります。
例えば楽天証券では、投信積立について設定変更や設定解除の受付時刻によって、次回以降の注文への反映時期が異なる場合があります。実際の再開日や次回買付日は、利用している証券会社の積立設定画面で確認する必要があります。
ポイント
- 積立停止は一時的な中断として利用できる
- 再開するときは新しい積立設定が必要になる場合がある
- 年間投資枠の残額を超えて買付けることはできない
積立を途中で止めることを検討してよいケース
① 家計に余裕がなくなった
生活費の増加や収入減少などで家計に余裕がなくなった場合、積立額を減らしたり、一時的に積立を停止したりすることを検討できます。
投資は生活資金を圧迫してまで続けるものではありません。
まずは生活費や近い将来に必要な資金を確保することが優先です。
② 近い将来に大きな支出がある
住宅購入、教育費、医療費など、近い将来にまとまった支出が予定されている場合は、新規の積立を止めて現金を確保する方法があります。
この場合も、積立を停止したからといって、すでに保有している商品を必ず売却しなければならないわけではありません。
③ 積立額が自分のリスク許容度を超えている
値下がりが気になって生活に支障が出るほど不安を感じる場合は、積立額が自分のリスク許容度に合っていない可能性があります。
積立を完全にやめるだけでなく、毎月5万円から2万円へ減らすなど、積立額を調整する方法もあります。
④ 投資目的が変わった
投資を始めた時点から家計やライフプランが変わった場合は、積立方針を見直すことがあります。
ただし、相場が一時的に下落したという理由だけで積立を止めると、当初の長期投資方針から外れる可能性があります。
相場が下落したから積立をやめるべき?
相場の下落だけを理由に積立を停止する必要はありません。
一定額を定期的に購入する積立投資では、価格が低いときには多くの口数を購入し、価格が高いときには購入する口数が少なくなります。
ただし、積立投資を続ければ必ず利益が出るわけではありません。
積立を続けるか止めるかは、相場の予想ではなく、投資目的、運用期間、家計状況、リスク許容度を基準に判断することが重要です。
積立停止ではなく売却した場合はどうなる?
保有商品を売却した場合は、積立停止とは扱いが異なります。
2024年からのNISAでは、NISA口座で対象商品を売却して得た譲渡益は非課税です。
一方で、売却して損失が出た場合、その損失は税務上「ないもの」とみなされます。
そのため、NISA口座で生じた売却損を、特定口座や一般口座の利益と損益通算することはできません。また、損失の繰越控除もできません。
国税庁は、NISA口座で取得した上場株式等の譲渡損失について、他の上場株式等の利益との損益通算や繰越控除ができないと明記しています。
売却すると非課税保有限度額はどうなる?
2024年からのNISAでは、生涯を通じた非課税保有限度額は1,800万円です。このうち、成長投資枠で利用できる上限は1,200万円です。
NISA口座の商品を売却すると、売却した商品の取得金額(簿価)分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。
例えば、100万円で購入した商品を120万円で売却した場合を考えます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 購入金額(簿価) | 100万円 |
| 売却金額 | 120万円 |
| 売却益 | 20万円 |
| 翌年以降に再利用できる非課税保有限度額 | 100万円 |
売却価格120万円ではなく、購入時の金額である100万円分を翌年以降に再利用できます。
ただし、売却した年に使用した年間投資枠がその場で復活するわけではありません。
重要
- 積立停止:非課税保有限度額に変化はない
- 売却:売却商品の簿価分を翌年以降に再利用できる
- 売却しても、その年の年間投資枠は復活しない
「積立を止める」「売却する」「NISA口座をやめる」は別
初心者が特に混同しやすいのが、この3つです。
| 手続き | 意味 |
|---|---|
| 積立停止 | 今後の定期買付けを停止する |
| 売却 | 保有している商品を換金する |
| NISA口座の廃止 | NISA口座そのものについて金融機関で廃止手続きを行う |
「毎月の積立が負担になったので止めたい」という場合は、通常、積立設定の停止や金額変更を検討すればよく、NISA口座そのものを廃止する必要はありません。
新NISAの積立をやめる前に確認したい5項目
- ① 積立額が家計を圧迫していないか
- ② 積立を完全に止めず、金額を減らす方法はないか
- ③ 投資目的や運用期間は変わったのか
- ④ 相場下落だけを理由に止めようとしていないか
- ⑤ 保有商品まで売却する必要が本当にあるか
積立を止めること自体が失敗というわけではありません。
家計状況に応じて積立額を変更したり、一時的に停止したりすることも資産形成の選択肢です。
一方で、「積立を止める」と「商品を売る」を混同すると、本来必要のない売却をしてしまう可能性があります。
楽天証券で新NISAの積立を始める
楽天証券では、新NISAを利用した投資信託の積立に対応しています。
積立投資を始めるときは、家計に無理のない金額を設定し、必要に応じて積立額を見直せるようにしておくことが重要です。
楽天証券で新NISAを始める
よくある質問
新NISAの積立を途中でやめると、保有商品も売却されますか?
いいえ。積立設定を停止しても、すでに購入して保有している商品が自動的に売却されることはありません。
積立をやめるとNISA口座はなくなりますか?
いいえ。積立を停止しただけでNISA口座そのものが廃止されるわけではありません。
積立を停止した後、再開できますか?
はい。再び積立設定を行うことができます。ただし、具体的な設定方法や次回買付けへの反映時期は金融機関ごとに異なります。
積立を止めたら未使用の年間投資枠は翌年に繰り越せますか?
できません。年間投資枠の未使用分を翌年に上乗せして利用することはできません。
保有商品を売却したらNISAの枠は戻りますか?
売却した商品の取得金額(簿価)分の非課税保有限度額は翌年以降に再利用できます。ただし、売却した年の年間投資枠は復活しません。
NISAで損失が出た場合、他の利益と相殺できますか?
できません。NISA口座で生じた売却損は、特定口座や一般口座の利益との損益通算や繰越控除の対象になりません。
まとめ
- 新NISAの積立停止と売却は別の手続き
- 積立を止めても、保有商品が自動的に売却されることはない
- 2024年からのNISAは非課税保有期間が無期限
- 積立停止後も再開できる
- 未使用の年間投資枠を翌年へ繰り越すことはできない
- 売却した商品の簿価分は翌年以降に非課税保有限度額として再利用できる
- NISAの売却損は損益通算・繰越控除できない
新NISAの積立を途中で止めても、すでに保有している商品を売却する必要はありません。
家計が苦しくなった場合は、積立を完全にやめるだけでなく、積立額を減らす方法もあります。
重要なのは、「積立停止」「売却」「NISA口座の廃止」を区別することです。
家計状況や投資目的を確認したうえで、必要であれば積立額を調整し、長期的に無理なく続けられる資産形成を考えましょう。
執筆実績
柴沼直美は金融情報メディア ファイナンシャルフィールド でも、資産形成・新NISA・家計・相続などに関する記事を執筆しています。