親と自分の老後不安をまとめて解消|ファイナンシャルプランナー柴沼直美

新NISAで現金はいくら残すべき?投資に回してはいけないお金を解説

この記事でわかること

  • 新NISAを始める前に現金をいくら残せばよいのか
  • 生活防衛資金の考え方
  • 投資に回さない方がよいお金
  • 新NISAに回せる「余裕資金」の考え方
  • 現金を残さず投資するリスク
  • 無理なく新NISAを続けるためのポイント

新NISAで現金はいくら残すべき?投資に回してはいけないお金を解説

新NISAを始めると、「銀行預金をどこまで投資に回していいの?」「現金はいくら残せばいい?」と迷う人もいるでしょう。

新NISAには大きな非課税枠がありますが、枠をできるだけ多く使うこと自体が目的ではありません。株式や投資信託には価格変動があり、必要なときに元本を下回っている可能性があります。

そのため、生活に必要なお金や近い将来使う予定のお金まで投資するのではなく、家計やライフプランを確認したうえで投資額を決めることが重要です。

この記事では、新NISAを利用するときに現金をいくら残すべきか、生活防衛資金や投資に回さない方がよいお金について解説します。

結論|「現金○万円」ではなく、使う時期と目的で分ける

まず結論

  • 新NISAに回す金額に一律の正解はない
  • 日常生活に必要なお金は現金で確保する
  • 病気や収入減など想定外の事態に備える資金も確保する
  • 近い将来使う予定が決まっているお金は投資と分けて考える
  • 当面使う予定のない余裕資金から投資額を決める

「現金を100万円残せば大丈夫」「生活費6か月分あれば誰でも十分」といった一律の基準はありません。

必要な現金は、毎月の生活費、収入の安定性、家族構成、住宅費、今後予定されている支出などによって異なります。

金融庁も、家計管理では収入と支出を把握して収支を黒字にすること、さらにライフプランを考え、資産状況や今後の生活設計に適した形で「貯蓄」と「投資」を使い分けることが大切だと説明しています。

そもそも「生活防衛資金」とは?

生活防衛資金とは、病気やけが、収入減少など予期しない事態が起きたときに、当面の生活を維持するために確保しておくお金を指す一般的な呼び方です。

これはNISA制度で金額が決められているものではありません。

金融庁のNISA特設サイトに掲載された過去の座談会では、生活防衛資金について、働きながらの場合は生活費の3か月から半年程度という考え方が一例として紹介されています。ただし、同じ箇所で「人による」とされており、すべての人に当てはまる公的な基準ではありません。

例えば毎月の生活費が25万円なら、3か月分は75万円、6か月分なら150万円です。

毎月の生活費 3か月分 6か月分
20万円 60万円 120万円
25万円 75万円 150万円
30万円 90万円 180万円

ただし、この金額はあくまで計算例です。

会社員と自営業者では収入が途絶えた場合の状況が異なりますし、単身世帯と子育て世帯でも必要な金額は変わります。住宅ローンなど固定費の大きさや、家族の収入状況なども考慮する必要があります。

新NISAに回してはいけないお金① 日常生活に必要なお金

毎月の家賃や住宅ローン、食費、水道光熱費、通信費など、日常生活に必要なお金まで投資に回すことは避けましょう。

投資信託や株式は預貯金とは異なり、価格が変動します。

生活費が必要になったときに相場が下落していれば、損失が出ている状態で売却せざるを得なくなる可能性があります。

金融庁も、預貯金と株式・投資信託では安全性、収益性、流動性などの性質が異なり、目的に応じて使い分けることが重要だと説明しています。

新NISAに回してはいけないお金② 近い将来使う予定のお金

数年以内に使うことが決まっているお金も、値動きの大きい商品への投資とは分けて考えた方がよいでしょう。

例えば、次のようなお金です。

  • 住宅購入の頭金
  • 子どもの進学費用
  • 車の購入資金
  • 結婚や引っ越しなどの予定資金
  • 近い将来予定している大きな支出

必要になる時期が決まっている資金を株式や株式型投資信託で運用すると、その直前に市場が大きく下落する可能性があります。

「必要になるまであと何年あるか」と「値下がりした場合に回復を待てるか」を考えて、投資する資金と確保しておく資金を分けることが重要です。

新NISAに回してはいけないお金③ 緊急時に必要なお金

急な病気やけが、家電の故障、収入減少など、予定外の支出に対応する資金も確保しておきましょう。

こうしたお金に求められるのは、高い収益性よりも、必要なときに使えることです。

投資商品を緊急資金の代わりにすると、必要になったときの価格によって受け取れる金額が変わってしまいます。

そのため、緊急時に必要となる可能性のある資金は、普通預金など換金のための売却を必要としない方法で確保しておくことが考えられます。

では、新NISAにはどのお金を回せばいい?

基本的には、生活に必要なお金、緊急時に備えるお金、近い将来使う予定のお金を確保したうえで、当面使う予定のない資金から投資額を決めます。

家計のお金を次の3つに分けると考えやすくなります。

お金の種類 目的 基本的な考え方
使うお金 日常の生活費 投資とは分ける
備える・近い将来使うお金 緊急資金、予定されている支出 必要な時期を優先して管理する
当面使わないお金 長期の資産形成 リスク許容度に応じて投資を検討する

このうち、新NISAを使った長期投資に向いているのは、基本的に「当面使わないお金」です。

「NISA枠を使い切るため」に現金を投資する必要はない

2024年からのNISAでは、年間投資枠はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円で、併用すると年間最大360万円です。また、非課税保有限度額は総枠1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。

しかし、これは「年間360万円を投資した方がよい」という意味ではありません。

NISAは投資できる非課税枠を定めた制度であり、自分の家計を超えて上限まで投資することを求める制度ではありません。

金融庁も、資産形成ではその人の資産状況やライフプランなどに適した形で貯蓄と投資を使い分けることが大切だとしています。

重要

「NISA枠が余っているから投資する」のではなく、「長期間使わない余裕資金があるから、その範囲でNISAを利用する」と考える方が家計管理の観点では合理的です。

現金をほとんど残さず投資すると何が問題?

現金をほとんど残さず投資すると、急な支出が発生したときに保有商品を売却しなければならなくなる可能性があります。

問題は、そのときの市場価格を選べないことです。

例えば、100万円を投資して評価額が80万円に下がっているときに急に現金が必要になれば、売却によって損失を確定することがあります。

十分な現金を確保していれば、市場が下落している時期に生活費のために慌てて売却するリスクを減らせます。

なお、NISA口座で売却損が生じても、その損失を特定口座や一般口座の利益と損益通算したり、翌年以降に繰り越したりすることはできません。

新NISAで含み損になったらどうする?はこちら

生活防衛資金を確保すると積立を続けやすくなる

現金を確保する目的は、単に「投資を減らすこと」ではありません。

相場が下落しても生活に必要なお金が確保されていれば、家計上の理由から投資商品を急いで売却する必要性を減らせます。

金融庁は、株式や投資信託などを利用した資産形成について、長期・積立・分散投資がリスクを軽減しながら安定的な資産形成を行うための有効な選択肢の一つと説明しています。

長期投資を続けるためにも、「いくら投資できるか」だけではなく、「投資しないで残しておくお金はいくら必要か」を先に考えることが大切です。

新NISAの積立を途中でやめたらどうなる?はこちら

現金を残しすぎるのも問題?

現金を多く保有すること自体が間違いというわけではありません。

預貯金には、必要なときに利用しやすく、価格変動によって残高が上下しないという特徴があります。一方、投資には価格変動リスクがありますが、長期的な資産形成に利用できるという異なる役割があります。

金融庁も、預貯金・株式・債券・投資信託にはそれぞれ安全性、収益性、流動性の違いがあり、すべての面で優れた金融商品はないと説明しています。

したがって、「現金か投資か」の二者択一ではなく、目的と使う時期に応じて両方を使い分けることが重要です。

新NISAを始める前に確認したい5項目

  • ① 毎月の生活費はいくらか
  • ② 収入が減った場合に備える現金は確保できているか
  • ③ 数年以内に予定している大きな支出はないか
  • ④ 投資したお金を長期間使わずに済むか
  • ⑤ 値下がりしても生活に影響しない金額か

この5項目を確認すると、「銀行預金のうち何%をNISAに回す」と機械的に決めるより、自分の家計に合った投資額を考えやすくなります。

特に重要なのは、投資した資産が値下がりしても、日常生活や予定している支出に影響しない状態を作っておくことです。

毎月の積立額は家計から逆算する

新NISAの積立額についても、年間投資枠から逆算するのではなく、家計から逆算することが重要です。

例えば毎月5万円を積み立てると生活費が不足する人が、「NISAだから」という理由で5万円を続ける必要はありません。

毎月1万円、2万円などでも、家計に無理のない範囲で積み立てることができます。

収入や支出が変わった場合には積立額を減らしたり、積立を一時停止したりすることも可能です。

大切なのは、投資額の大きさを競うことではなく、自分の生活を守りながら長期的に資産形成を続けられる金額を設定することです。

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生活に必要な現金や近い将来使う資金を確保し、投資に回せる余裕資金が決まったら、新NISAを利用した積立投資を検討できます。

楽天証券では、新NISAを利用した投資信託の積立などに対応しています。

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よくある質問

新NISAを始めるなら現金はいくら残すべきですか?

すべての人に共通する金額はありません。毎月の生活費、収入の安定性、家族構成、近い将来の支出などを確認し、日常生活や緊急時に必要なお金を確保したうえで投資額を決めます。

生活費6か月分を残せば十分ですか?

一律に十分とはいえません。金融庁のNISA特設サイトに掲載された過去の座談会では、働いている人について生活費の3か月から半年程度という目安が一例として示されていますが、公的に定められた基準ではありません。必要額は家計や働き方などによって異なります。

貯金を全部NISAに入れてもいいですか?

生活費や緊急時に必要なお金、近い将来使う予定のお金まで値動きのある金融商品へ投資すると、必要なときに価格が下落している可能性があります。投資に回す資金と生活に必要な資金を分けて考えることが重要です。

NISAの年間360万円の枠は使い切った方がいいですか?

使い切る必要はありません。年間360万円は投資できる上限であり、投資すべき金額ではありません。自分の家計とライフプランに合った金額を設定します。

現金を残しておくと損ではありませんか?

現金と投資商品は役割が異なります。預貯金は日常生活や予定されている支出、緊急時の資金として利用しやすい一方、投資商品には価格変動があります。目的に応じて使い分けることが重要です。

相場が下がったら生活防衛資金で買い増してもいいですか?

生活防衛資金は、生活や緊急時に備えて確保しているお金です。相場が下落したという理由だけで投資に回すと、本来必要になったときの資金が不足する可能性があります。買い増しをする場合も、生活に必要な資金とは分けた余裕資金の範囲で判断します。

まとめ

  • 新NISAに回す金額に一律の正解はない
  • 日常生活に必要なお金は投資資金と分ける
  • 緊急時に備える資金を確保する
  • 近い将来使う予定のお金は値動きの大きい投資と分けて考える
  • NISAの年間投資枠を無理に使い切る必要はない
  • 当面使う予定のない余裕資金から投資額を決める

新NISAを始めるとき、「いくら投資すればいいか」に目が向きがちですが、その前に考えたいのが「いくら現金で残しておくか」です。

生活費や緊急時の資金まで投資してしまうと、相場が下落したときに必要なお金を確保するため、望まないタイミングで商品を売却することになりかねません。

まず家計と今後の予定を確認し、生活に必要なお金、近い将来使うお金、当面使わないお金に分けて考えましょう。

新NISAは、非課税枠を最大限使うことそのものが目的ではありません。自分の生活を守る現金を確保したうえで、無理なく長期的な資産形成を続けることが重要です。

執筆実績

柴沼直美は金融情報メディア ファイナンシャルフィールド でも、資産形成・新NISA・家計・相続などに関する記事を執筆しています。

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