新NISAで含み損になったらどうする?
この記事でわかること
- 新NISAで含み損になったときに、すぐ売る必要があるのか
- 含み損と「損失確定」の違い
- 売却を検討した方がよいケース
- 含み損でも積立を続ける場合の考え方
- NISAで損失を出した場合の税金上の注意点
新NISAで含み損になったらどうする?売るべきか待つべきかFPが解説
新NISAで投資を始めたものの、購入した投資信託や株式の価格が下がり、「このまま持っていて大丈夫?」「損失が大きくなる前に売った方がいいの?」と不安になる人もいるでしょう。
しかし、含み損が出たという理由だけで、すぐに売却する必要があるとは限りません。一方で、どんな商品でも値上がりするまで持ち続ければよい、というわけでもありません。
この記事では、新NISAで含み損になったときに確認したいポイント、売却を検討した方がよいケース、積立を続ける場合の考え方、NISA特有の税金上の注意点について、ファイナンシャルプランナーの視点からわかりやすく解説します。
結論|含み損だけを理由に売るかどうかを決めない
まず結論
- 含み損は、売却するまで確定した損失ではない
- 価格が下がったという理由だけで売却する必要はない
- 投資目的、保有商品、運用期間、リスク許容度を確認して判断する
- NISAで確定した損失は、課税口座の利益と損益通算できない
投資では価格の上昇だけでなく、下落も起こります。特に株式を中心とした投資信託は、短期間で大きく値下がりすることもあります。
重要なのは、「含み損になったから売る」「値下がりしたから買い増す」と機械的に判断することではありません。
自分がその商品を購入した理由が現在も変わっていないか、いつ使う予定のお金なのか、どの程度の値下がりまで受け入れられるのかを確認したうえで判断する必要があります。
そもそも「含み損」とは?
含み損とは、保有している金融商品の現在価格が購入価格を下回っている状態を指します。
例えば、100万円で購入した投資信託の評価額が80万円になっていれば、20万円の含み損がある状態です。
| 状態 | 金額 |
|---|---|
| 購入金額 | 100万円 |
| 現在の評価額 | 80万円 |
| 含み損 | 20万円 |
この時点では商品を売却していないため、20万円の損失は確定していません。
80万円で売却すれば、その時点で20万円の売却損が確定します。
含み損になっても、すぐ売らなくてよいケース
① 長期投資を前提に購入している
新NISAを利用して10年、20年といった長期の資産形成を目的としている場合、途中で価格が下落すること自体は想定しておく必要があります。
株式市場は一直線に上昇するわけではありません。上昇と下落を繰り返すため、投資期間中に含み損を経験する可能性があります。
数か月や1年程度の値動きだけを見て投資方針を変更すると、本来予定していた長期運用ができなくなることがあります。
② 分散されたインデックスファンドを長期保有している
例えば、全世界株式や幅広い米国株式市場などに連動するインデックスファンドは、多数の企業に分散投資しています。
市場全体の下落によって一時的に含み損になった場合と、特定企業の経営悪化によって個別株が急落した場合では、考え方を分ける必要があります。
分散されたインデックスファンドを長期保有する方針で、投資目的や運用期間に変更がないのであれば、短期的な値下がりだけを理由に売却する必要性は高くありません。
③ 生活資金とは分けた余裕資金で投資している
近いうちに使う予定のない資金で投資している場合は、市場が下落しても回復を待つ時間を確保できます。
一方、数年以内に住宅購入、教育費、生活費などに使う予定の資金を投資している場合は、必要な時期に価格が下落している可能性があります。
長期投資を続けるためには、生活費や近い将来に必要なお金と投資資金を分けておくことが重要です。
含み損でも積立を続けてよい?
長期・積立投資を前提にしており、商品選びや投資目的に問題がないのであれば、価格が下落している時期にも積立を継続する方法があります。
一定額を定期的に購入する場合、価格が安いときには多くの口数を購入し、価格が高いときには購入する口数が少なくなります。
ただし、積立を続ければ必ず利益が出るわけではありません。将来の価格上昇が保証されている金融商品はありません。
注意
「値下がりしたから必ず買い増す」「含み損になったら積立額を増やす」といった判断は適切とは限りません。自分のリスク許容度や家計に無理のない金額を維持することが優先です。
売却を検討した方がよいケース
含み損だからといって必ず売る必要はありませんが、次のような場合は保有を続けるかどうかを見直す必要があります。
① 投資した理由が変わった
購入したときの投資方針と現在の状況が大きく異なる場合は、保有を続ける理由を改めて確認しましょう。
例えば、理解しないまま人気だけを理由に購入した商品や、想定以上に価格変動の大きい商品を保有している場合です。
② 自分のリスク許容度を超えている
値下がりが気になって眠れない、頻繁に価格を確認してしまう、さらに下落すると生活資金に影響する、といった状態であれば、投資額や資産配分が自分のリスク許容度を超えている可能性があります。
その場合は、売却だけでなく、今後の積立額を減らす、株式の比率を下げるなど、資産配分そのものを見直す方法があります。
③ 必要な時期が近いお金を投資している
近い将来に必要になる資金については、価格回復を待てない可能性があります。
投資期間が短くなっている場合は、必要額を現金など値動きの小さい資産へ移すことも検討する必要があります。
④ 個別株の投資判断の前提が崩れた
個別株の場合は、単に株価が下がっただけでなく、企業業績、財務状況、事業環境などが変化していることがあります。
購入時に期待していた成長性や収益力が失われたのであれば、「含み損だから戻るまで待つ」という理由だけで保有を続けることは適切ではありません。
NISAで損失を確定するときの重要な注意点
NISAには、課税口座とは異なる重要なルールがあります。
NISA口座で売却して発生した損失は、特定口座や一般口座で得た利益との損益通算ができません。
また、その損失を翌年以降に繰り越して利益から差し引く「繰越控除」も利用できません。
国税庁は、NISA口座で発生した売却損について、税務上は損失がないものとみなすとしています。
| 損失の扱い | NISA口座 | 一定の課税口座 |
|---|---|---|
| 他の上場株式等の利益との損益通算 | できない | 一定の要件で可能 |
| 損失の繰越控除 | できない | 一定の要件で最長3年間可能 |
例えば、NISAで30万円の損失を確定し、特定口座で50万円の利益があったとしても、NISAの30万円を特定口座の利益から差し引くことはできません。
売却するとNISAの非課税枠はどうなる?
2024年からのNISAでは、商品を売却すると、その商品の取得金額(簿価)分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。
例えば、NISAで100万円の商品を購入し、価格が70万円まで下落した時点で売却したとします。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 購入金額(簿価) | 100万円 |
| 売却金額 | 70万円 |
| 売却損 | 30万円 |
| 翌年以降に再利用できる非課税保有限度額 | 100万円 |
再利用できる金額は売却価格70万円ではなく、取得金額である100万円です。
ただし、売却した年の年間投資枠がその場で復活するわけではありません。再利用できるのは翌年以降であり、実際の投資額は各年の年間投資枠の範囲内となります。
「損を取り戻してから売る」は正しい?
「買った値段まで戻るまでは絶対に売らない」と考える人もいますが、購入価格そのものは、今後その商品を持ち続けるべきかを決める根拠にはなりません。
重要なのは、「現在の価格でこの商品をこれからも保有したいか」という視点です。
今後も長期保有する理由があるのであれば保有を続ける選択肢があります。一方、投資判断の前提が崩れているのであれば、「含み損がゼロになるまで待つ」ことだけを理由に保有し続ける必要はありません。
初心者が含み損になったときに確認したい5項目
- ① その商品を購入した目的は変わっていないか
- ② 投資期間を十分に取れるか
- ③ 生活資金ではなく余裕資金で投資しているか
- ④ 値下がり幅が自分のリスク許容度を超えていないか
- ⑤ 商品そのものに問題が生じていないか
この5項目に問題がなく、長期・積立・分散という投資方針を維持できるのであれば、含み損になったという事実だけで慌てて売却する必要はありません。
反対に、家計やリスク許容度に無理がある場合は、「価格が戻るまで我慢する」よりも、資産配分を見直すことを優先しましょう。
楽天証券で新NISAを始めるメリット
楽天証券では、NISAを利用した投資信託の積立に対応しています。
- 投資信託は月100円から積立可能
- 楽天ポイントを投資信託の購入に利用できる
- NISA口座でもポイント投資を利用できる
- 一度積立設定をすれば自動で買付できる
新NISAで長期積立をする場合は、短期的な値動きを追いかけるよりも、無理のない積立金額を設定して継続できる環境を作ることが重要です。
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よくある質問
新NISAで含み損になったら売った方がいいですか?
含み損になったという理由だけで売却する必要はありません。投資目的、運用期間、リスク許容度、保有商品の内容を確認して判断します。
含み損のまま持っていれば損失ではないのですか?
売却するまでは損失は確定していません。ただし、評価額が下落しているという事実は変わらず、その後さらに価格が下がる可能性もあります。
含み損のときに積立を続けても大丈夫ですか?
長期・積立投資を前提としており、投資目的や家計に問題がなければ継続する方法があります。ただし、積立を続ければ必ず利益になるわけではありません。
NISAで損をしたら税金を減らせますか?
できません。NISA口座で確定した売却損は、特定口座や一般口座の利益との損益通算や繰越控除の対象になりません。
NISAの商品を損切りすると非課税枠は戻りますか?
売却した商品の取得金額(簿価)分の非課税保有限度額は翌年以降に再利用できます。ただし、その年の年間投資枠が売却直後に復活するわけではありません。
値下がりしたときに買い増した方がいいですか?
値下がりしたという理由だけで買い増すべきとはいえません。投資目的や資産配分、家計に無理がないかを確認したうえで判断します。
まとめ
- 含み損は売却するまで確定損失ではない
- 含み損だけを理由に慌てて売却する必要はない
- 長期投資では途中の価格下落も想定しておく
- 投資目的やリスク許容度が変わった場合は見直す
- NISAの売却損は損益通算・繰越控除できない
- 売却した商品の簿価分の非課税保有限度額は翌年以降に再利用できる
新NISAで含み損になると、「これ以上損をしたくない」という気持ちから、すぐに売却したくなることがあります。
しかし、投資判断で重要なのは購入価格ではなく、今後もその商品を保有する理由があるかどうかです。
長期・積立・分散を前提とした運用であれば、一時的な下落だけを理由に投資方針を変更する必要はありません。一方、生活資金まで投資している場合や、自分のリスク許容度を超えている場合は、積立額や資産配分を見直しましょう。
新NISAは利益が非課税になる制度ですが、損失については課税口座とは扱いが異なります。制度を正しく理解したうえで、自分の目的に合った長期的な資産形成を続けることが重要です。