新NISAの出口戦略とは?老後の取り崩し方を初心者向けに解説
新NISAでは「何を買うか」「毎月いくら積み立てるか」に目が向きがちですが、50代・60代になると考えておきたいのが、積み立てた資産を老後にどう使うかという「出口戦略」です。せっかく資産を形成しても、取り崩し方によっては老後の資金計画が大きく変わります。本記事では、一括売却、定額・定率での取り崩しなど、NISA資産を老後の生活に活用する方法をわかりやすく解説します。
新NISAの出口戦略とは?
新NISAの出口戦略とは、NISAで形成した資産を老後にどのように取り崩し、生活費などに充てていくかを考えることです。
現行NISAの非課税保有期間は無期限です。そのため、60歳や65歳になったからといって、保有している商品をすべて売却しなければならないわけではありません。
年金だけで生活できるのであれば運用を続けることもできますし、毎月の生活費が不足するのであれば必要な分だけ取り崩す方法もあります。
重要なのは「何歳になったら売る」と一律に決めるのではなく、年金などの収入、生活費、預貯金、今後予定している支出を確認しながら、NISA資産をどのように使うかを考えることです。
老後の取り崩し方は主に3つ
NISA資産の取り崩し方に決められた正解はありません。代表的な方法として、一括売却、定額取り崩し、定率取り崩しがあります。
| 方法 | 特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 一括売却 | 必要な資金をまとめて現金化する | 売却した分については、その後の値上がりによる利益を得る機会がなくなる |
| 定額取り崩し | 毎月・毎年一定額を取り崩す | 価格下落時にはより多くの口数を売却することになる |
| 定率取り崩し | 資産残高の一定割合を取り崩す | 受け取れる金額が資産残高によって変動する |
どの方法が適しているかは、資産額や生活費、年金収入などによって異なります。必ず一つの方法だけを選ぶ必要もありません。
毎月の生活費を補うなら「定額取り崩し」
定額取り崩しは、「毎月3万円」「毎年60万円」など、あらかじめ決めた金額を取り崩す方法です。
たとえば老後の生活費が月25万円で、年金などの収入が月22万円なら、毎月3万円不足します。この不足分をNISA資産などから補うという考え方です。
毎月必要な金額が分かりやすいため家計管理をしやすい一方、相場が下落しているときにも同じ金額を取り崩すと、価格が高いときより多くの口数を売却することになります。
下落相場が長く続いた場合には、想定より早く資産が減る可能性がある点に注意が必要です。
資産残高に合わせるなら「定率取り崩し」
定率取り崩しは、「毎年、資産残高の3%を取り崩す」といったように、保有資産の一定割合を売却する方法です。
たとえば年初の資産残高が1,000万円で3%を取り崩すなら30万円です。翌年の資産残高が900万円なら、同じ3%でも27万円になります。
資産が減少したときには取り崩す金額も小さくなるため、定額取り崩しとは異なる形で資産残高に対応できます。
一方、受け取れる金額が毎年変わるため、生活費の不足額を一定額補いたい人には使いにくい場合があります。
まとまった支出には一括売却という選択肢もある
住宅の修繕や介護費用など、まとまった資金が必要になった場合には、NISA資産の一部をまとめて売却する方法もあります。
ただし、老後を迎えたことだけを理由にNISA資産をすべて現金化する必要はありません。必要な金額だけを売却し、残った資産については運用を続ける方法も考えられます。
NISAで利益が出たときの売却判断や、売却後の非課税保有限度額の扱いについては、別の記事で詳しく解説しています。
新NISAで利益が出たら売るべき?売却のタイミングと非課税枠を解説
下落相場で取り崩しを迫られない準備が重要
老後の取り崩しで注意したいのは、相場が大きく下落しているときに、生活費のために投資資産を売却しなければならなくなることです。
たとえば退職直後に株式市場が大きく下落した場合でも、当面の生活費を預貯金などで確保していれば、値下がりした資産を急いで売却せずに済む可能性があります。
反対に、生活費まで投資に回していると、相場の状況にかかわらず売却せざるを得なくなることがあります。
そのため、NISAの出口戦略は「どう売るか」だけではなく、「投資せずに残しておくお金をどう準備するか」とセットで考えることが重要です。
新NISAで現金はいくら残すべき?投資に回してはいけないお金はこちら
年金・預貯金・NISAを一緒に考える
老後の生活費をNISAだけで考える必要はありません。
まず、公的年金などから毎月いくら収入があるのかを確認します。次に、基本的な生活費や医療・介護費、住宅関連費などを見積もり、不足する金額を把握します。
その不足額を、預貯金やNISAなどの運用資産からどのように補うかを考えます。
たとえば、日常的な生活費の不足分は定期的な取り崩しで補い、まとまった臨時支出には預貯金を使うなど、複数の資産を組み合わせる方法があります。
どの資産から先に使うべきかについても一律の正解はありません。保有資産、運用状況、今後の支出予定などを踏まえて判断する必要があります。
50代・60代は「増やす」と「使う」を同時に考える
50代・60代から新NISAを利用する場合でも、長期間使う予定のない資金であれば運用を続ける選択肢があります。
一方、20代や30代と比較すると、老後資金を実際に使い始める時期が近い人も多いでしょう。
そのため、「いくら増やすか」だけを考えるのではなく、「いつから、毎年いくら程度使う可能性があるのか」も考えておくことが大切です。
資産形成期から出口を意識しておけば、老後を迎えたときに相場の動きだけを見て慌てて売却することを避けやすくなります。
よくある質問
NISAは65歳になったら取り崩したほうがいいですか?
年齢だけを理由に取り崩す必要はありません。現行NISAの非課税保有期間は無期限です。年金や預貯金、生活費などを踏まえ、資金が必要になったときに取り崩す方法を検討できます。
NISAは毎月少しずつ取り崩せますか?
投資信託などは一部を売却することができます。定期売却サービスの有無や条件、売却単位などは金融機関や商品によって異なるため、利用する金融機関で確認しましょう。
定額と定率ではどちらがおすすめですか?
一律にどちらがよいとはいえません。定額は毎月の生活費を補いやすく、定率は資産残高に応じて取り崩し額が変わるという特徴があります。必要な生活費や資産額などに応じて検討します。
NISA資産をすべて使い切る必要がありますか?
使い切る必要はありません。NISA資産をどこまで取り崩すかは、生活費、年金、預貯金、今後必要になる資金などを踏まえて考えます。
まとめ
新NISAの出口戦略で重要なのは、「何歳になったら売るか」を決めることではなく、形成した資産を老後の生活の中でどのように使っていくかを考えることです。
一括売却、定額取り崩し、定率取り崩しには、それぞれ特徴があります。年金などの収入で不足する生活費や今後予定している支出を確認し、自分に合った方法を検討しましょう。
また、相場が下落しているときに生活費のための売却を迫られないよう、預貯金などの現金を確保しておくことも大切です。NISAだけを見るのではなく、年金・預貯金・運用資産を合わせて老後の資金計画を考えることが、出口戦略の基本になります。
執筆実績
柴沼直美は金融情報メディア ファイナンシャルフィールド でも、資産形成・新NISA・家計・相続などに関する記事を執筆しています。